女性ホルモンの変化による更年期障害

生殖機能を担っている卵巣の機能が低下し、エストロゲン(女性ホルモン)が急激に減少するのが、更年期です。女性なら誰しも初潮を迎えるように、どんな女性にも閉経がやってきます。更年期も誰にでも訪れるもので、女性の長い人生の中の一つの通過点に過ぎません。

のぼせ、頭痛の症状が現れます

しかし、更年期のようにホルモンが大きく変化するときにはストレスが多いため、心身にさまざまな症状(不定愁訴)が現れます。不定愁訴は女性の生涯のさまざまな場面で現れますが、なかでも更年期に現れるものを「更年期障害」といいます。更年期障害は、大きく分けると、自律神経失調症状(のぼせ、ほてり、発汗、動機、頭痛、めまい等)、精神神経症状(不安、イライラ、抑うつ、不眠等)、その他の症状(肩こり、腰痛、筋肉痛、腹痛、下痢、食欲不振、膣の乾燥、性交痛)に分けられます。

こうした症状は、更年期を迎えた女性なら多かれ少なかれ経験します。そのうち、日常生活に支障をきたしたり、治療が必要になったりするほど症状の強いものを更年期障害と言います。更年期障害が起きる背景には、卵巣機能の低下、エストロゲンの減少という内分泌的要因がありますが、それ以外にも女性を取り巻く社会的・環境的な要因や、本人の性格なども関係しています。

更年期の最初の兆候は、月経異常です。月経期間や月経周期が乱れたり、経血の量が多かったり少なかったりします。それと重なるように上記のような更年期の症状が現れてきます。そうした症状が現れているとき、体内では何が起きているのでしょうか。

エストロゲンをはじめとするホルモンは脳の視床下部が管理しており、血中のエストロゲンやプロゲステロンの量が少なくなると脳下垂体に指令を出して、性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)を放出させます。逆にホルモン量が十分であれば、性腺刺激ホルモンの放出を止めさせます。

下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンは、エストロゲンの分泌を促すFSH(卵胞刺激ホルモン)と、プロゲステロンの分泌を促すLH(黄体化ホルモン)があります。卵巣はこれらのホルモンの刺激を受けて、エストロゲンやプロゲステロンを分泌します。

しかし閉経が近づくと、卵巣の機能は徐々に低下して、女性ホルモンを分泌できなくなってきます。すると、視床下部はホルモンの分泌を十分に促していないと考えて、下垂体からFSHやLHを大量に放出します。最初は卵巣のまだ機能する部分が、指令を受けてなんとかエストロゲンを分泌しますが、不定期です。これが閉経周辺期で、忘れたころに月経が来たり、始まったと思ったらダラダラと止まらなくなったりします。

このような状態が続くうちに、卵巣の機能が失われる時がきます。この段階でも脳は卵巣に女性ホルモンの分泌を促すために、大量のFSHやLHを放出し続けます。しかし、卵巣は機能を失っているため、どんなに刺激を受けても女性ホルモンを出すことができません。こうして、女性ホルモンの分泌は完全に止まり、閉経を迎えるのです。エストロゲンは全身のあらゆる部分に作用していますので、その分泌がなくなると体中が混乱し、上記のような更年期特有の不定愁訴が現れるのです。