人間は活動をすると、新陳代謝が高まり、体温が上昇します。その前の、体が最も安静な状態の時(朝目覚めてすぐ)の体温のことを、「基礎体温」をいいます。基礎体温を測ることで、次の生理の時期や排卵の有無、体調の悪い時期(PMS:月経前症候群)の時期などを把握することができます。PMS(月経前症候群)とは、生理が始まる1週間くらい前から、イライラ、頭痛、腹痛、肌荒れなどの体調不良が現れる状態です。
また基礎体温表を日ごろから記録しておけば、何かトラブルがあった時に、婦人科で原因を推測する際にも大きく役立ちます。ただし、初経から3年くらいは、排卵が無かったり、不規則なこともあります。
基礎体温の測り方ですが、朝目覚めた時に、動かない状態のまま、婦人体温計を舌下に入れて測定します。わずかな体温の差が重要ですので、通常の体温計ではなく、小数点第2位まで測定できる基礎体温計を使用しましょう。毎日、同じ時刻に測定することが大切です。図る時間がずれたり、体調が悪い場合(腹痛、気分のイライラなど)は、備考欄にそのことをメモしておきましょう。
生理の開始日から排卵までの「卵胞期」は低温が続き、排卵後の「黄体期」は高温が続きます。したがって、健康な女性が基礎体温を毎日記録して、グラフにすると、排卵期を境に低温と高温の2層に分かれた基礎体温曲線が描かれます。高温期は平均14日ですが、低温期は長短があり、それによって生理周期が長め、あるいは短めになります。
グラフ上の低温から高温に移行する場所が「排卵期」で、排卵期が近づくと、頸管から粘液が大量に分泌されます。下着につく、ネバネバした透明なものがそれです。通常、粘り気のある粘液が子宮口を塞ぐことで、病原体や精子の侵入を防いでいますが、排卵が近づくとホルモンの働きで精子が通りやすいように子宮口の粘液も変化します。
排卵の約14日後には生理が来るので、基礎体温を参考に、体と心の準備をすることができます。低温のまま生理が来れば、無排卵性月経ですので、婦人科で治療が必要となります。高温が14日以上続けば妊娠の可能性があります。