性器の水ぶくれが破れて痛い!性器ヘルペス感染症

性器ヘルペス感染症は、単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって性器やその周辺に水ぶくれ、ただれなどの病変が形成される性感染症(STD)です。性器ヘルペス感染症は主にセックスを介して感染し、パートナーの性器に病変が存在している場合は勿論、無症状でも性器の粘膜や分泌液中にウイルスが存在しても感染が成立します。またパートナーの唾液中にHSVが存在している場合、オーラルセックス(フェラチオなど)でも感染します。

妊娠時の感染は胎児もリスクあり

性器ヘルペスは、感染症法(1999年施行)によって定点把握疾患に分類されています。定点とは、感染症の発生状況を把握するためにこれらの情報を報告してくれる医療機関のことを意味しており、流行状況について全体の傾向が可能な限り反映されるように、定点に指定された感染症ごとに関係医師会の協力を得て、保健所管内の人口に応じた数の定点医療機関が無作為に選定されているのです。

性器ヘルペスの感染報告数は、感染症法施行後は増加傾向にありましたが、厚生労働省の動向調査では近年では一見すると減少傾向にあるように見えます。しかしこの数字には、2006年以降は再発した性器ヘルペスは除外されることになったためで、実際の感染者数は減少していないという見方が有力です。

単純ヘルペスウイルス(HSV)は1度でも感染すると、抗ウイルス薬(ゾビラックス、バルトレックス)を服用して症状が治まっても、知覚神経の神経節(神経細胞)に潜伏するため、その後長きにわたって再発を経験することがあります。特に初めて性器ヘルペスに罹った患者さんの約80%は1年以内に再発するとされています。

単純ヘルペスウイルスは、口唇ヘルペスの原因となるHSV-1と、性器ヘルペスの原因となるHSV-2に分類されますが、先述のようにフェラチオでも感染するため明確に原因ウイルスが分かれることはありません。つまり、HSV-1に感染している女性がフェラチオをすれば、男性のペニスにもHSV-1による病変が生じたり、あるいはその逆の経路で、女性の口唇にHSV-2による病変が現れることもあるのです。

性器の水ぶくれやただれは、自覚しやすい症状ですが、初観戦者のセックスパートナーの約70%は無症状という報告があるため、無症候性の性器ヘルペス患者が多いことにも注意費する必要があります。感染者に見る男女比の割合は、セックスで接触する粘膜の面積が女性のほうが広いという理由により、女性患者の割合が高くなっています。

性器クラミジア感染症や淋病などは、10代後半から30歳くらいまでの年齢層が患者の多くを占めるのに対し、性器ヘルペス感染症では40代、50代の年齢層も多くみられるのが特徴です。これは以前に感染して潜伏状態だったHSVが、免疫力の低下、セックスの刺激などをきっかけに再発するケースが多いことが理由と考えられます。

性器ヘルペスの治療は、アシクロビル(製品名:ゾビラックス)やバラシクロビル(製品名:バルトレックス)を服用します。